戦うことで地を得るものだと考え、勝てなかった。しかし、所構わず戦ったって仕方が無い。その考え方や、見極め方、その理由を解説してくれている一冊だ。図も大きく見やすい。解説も丁寧で、非常にわかりやすい。地とは、どのように取ればよいのか、従来の自分の考え方を改めさせられた。全てを受け入れるわけではないが、非常に参考になる。コツを知る、とはこういうことなのだ、と感じた。
この本は、全くの初心者よりは、何度も打って、痛い目を見た経験のある程度ある方のほうが理解しやすいだろう。
苑田流大模様作戦で知られる著者は、初級者から上達の壁につき当たった有段者にまで役に立つ、目から鱗の出るような視点を次々に提示してくれる。「美人は追わず」「堅物には近寄らず」という極めて身近な格言から碁の深遠な真理へと接近していく。アマチュアはとかく彼我の力関係を考慮せず無謀な戦いを仕掛けつぶれてしまい勝ちであるが、敵と味方の石の数の違いから力関係を具合を説き、それぞれに応じた作戦を提示している。力関係の接近している場合の見合いの考え方、自分の勢力下での強烈な攻め方など、即実戦に活かせる題材が満載。単なる部分的な技術書にとどまらない、碁の大局的理論をつかみたい人に好適な、類書のない好著である。